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マレーシア法人 監査免除

マレーシア法人の監査免除と年次申告【2026年】会計・決算の期限一覧

最終更新日:2026-10-08

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マレーシア法人は設立して終わりではなく、毎年決まった期限で会社法と税法の手続きが発生します。結論から言うと、押さえるべき期限は「設立記念日から30日以内の年次申告」「決算日から6か月以内の財務諸表の株主への送付」「決算日から7か月以内の法人税申告」の3つです。そして2025年以降、SSMの新しい監査免除基準によって、小規模な非公開会社は法定監査が不要になる範囲が段階的に広がっています。この記事では、マレーシア法人の会計・監査・年次申告を期限順に整理します(2026年10月時点)。

まず結論:毎年の手続きと期限の一覧

マレーシア法人の年間の手続きは、会社法(Companies Act 2016)に基づくSSMへの手続きと、所得税法(Income Tax Act 1967)に基づくLHDNへの手続きの2系統に分かれます。期限の起算点が「設立日」と「決算日」で異なるため、混同しないことが重要です。

SSMへの年次申告(Annual Return)は、決算とは関係なく設立記念日を基準に毎年提出します。一方、財務諸表と法人税申告は決算日を基準に動きます。決算日は会社が自由に設定でき、日本の親会社や個人の都合に合わせて選ぶことが可能です。

これらの手続きは通常、カンパニーセクレタリー(会社法関係)と、会計事務所・税務代理人(会計・税務関係)が分担して対応します。依頼先がどの期限を担当するかを、契約時に明確にしておいてください。

マレーシア法人(Sdn Bhd)の主な年次手続きと期限(2026年10月時点)
手続き根拠・提出先期限担当の目安
年次申告(Annual Return)会社法68条/SSM設立記念日から30日以内カンパニーセクレタリー
財務諸表の株主への送付会社法258条決算日から6か月以内会計事務所・監査人
財務諸表のSSMへの提出会社法259条/SSM株主への送付から30日以内カンパニーセクレタリー
法人税申告(Form C)所得税法/LHDN決算日から7か月以内税務代理人
予定納税の見積り(CP204)所得税法/LHDN課税年度開始の30日前まで税務代理人
予定納税の分割納付所得税法/LHDN課税年度2か月目から毎月会社(経理)

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監査免除の新基準:2025年から3段階で緩和

マレーシアの非公開会社(Sdn Bhd)は、原則として毎年、外部監査人による法定監査を受ける必要があります。これまで監査免除の対象は休眠会社、売上ゼロの会社、そして売上RM10万以下・総資産RM30万以下・従業員5名以下をすべて満たす小規模会社に限られていました。

SSMが公表した実務指針(Practice Directive No. 10/2024)により、この基準が段階的に引き上げられました。2025年1月1日以降に開始する会計年度から3段階で基準額が上がり、さらに「3つの基準のうち2つを満たせばよい」という形に緩和されています。

判定は当期だけでなく、直前2期分の数値で行われる点に注意してください。また監査が免除されても、財務諸表の作成とSSMへの提出義務は残ります。監査免除はあくまで「外部監査が不要になる」だけで、会計記帳と決算書の作成が不要になるわけではありません。

SSMの監査免除基準(Practice Directive No. 10/2024・3基準のうち2つを満たす)
対象となる会計年度売上高総資産従業員数
2025年1月1日〜12月31日に開始RM100万以下RM100万以下10名以下
2026年1月1日〜12月31日に開始RM200万以下RM200万以下20名以下
2027年1月1日以降に開始RM300万以下RM300万以下30名以下
(参考)従来の基準RM10万以下RM30万以下5名以下(3つすべて)

監査免除を使う前に考えるべき3つのこと

監査免除の基準を満たすと、毎年の監査報酬を削減できます。ただし、免除を使うべきかどうかは別の判断です。

第一に、銀行や取引先、ビザ申請の場面で監査済み財務諸表を求められることがあります。融資やEmployment Passの更新、ライセンスの申請で監査済みの決算書が実質的に必要になるなら、免除を使っても結局は監査を受けることになります。

第二に、日本側の手続きです。日本の居住者や内国法人が支配するマレーシア法人の租税負担割合が20%未満の場合などには、日本の確定申告書に外国関係会社の財務諸表等を添付する義務があります。監査済みの決算書は、日本の税務調査で事業実態を説明する際の信頼性の高い資料になります。

第三に、ラブアン法人は別制度です。本記事の監査免除はCompanies Act 2016に基づく本土の非公開会社の話であり、ラブアン法人のトレーディング活動は3%課税の前提として監査済み財務諸表が必要になります。

関連: ラブアン法人とは

法人税申告(Form C)と予定納税(CP204)

マレーシアの法人税は自己申告制度です。会社は決算日から7か月以内に法人税申告書(Form C)を電子申告で提出し、税額を確定させます。

これとは別に、予定納税の仕組みがあります。会社は課税年度の開始30日前までに、その年度の見積税額をCP204で届け出て、課税年度の2か月目から毎月分割で納付します。年度の途中で見積りを修正できる時期が定められており、確定税額が見積額を一定割合以上上回るとペナルティの対象になります。

設立直後の中小企業については、一定の要件のもとで最初の2課税年度は予定納税の見積り提出が免除される取扱いがあります。適用の可否は払込資本などの要件で変わるため、税務代理人に確認してください。

税率の詳細(標準24%、中小企業の15%・17%の段階税率、配当のシングルティア制度)は、別記事で解説しています。

関連: マレーシアの法人税【2026年】

SST・e-Invoice・従業員関連の手続き

年次の手続きに加えて、事業内容と規模に応じて発生する手続きがあります。代表的なのがSST(売上税・サービス税)、e-Invoice(電子インボイス)、そして従業員を雇用した場合の社会保険・源泉徴収です。

サービス税は、課税対象サービスの年間売上が登録基準額を超える場合に登録義務が生じます。課税対象サービスの範囲は2025年7月に拡大されており、自社のサービスが対象になるかを確認する必要があります。

e-Invoiceは、LHDNのMyInvoisシステムを通じた電子インボイスの発行義務で、売上規模ごとに段階的に導入されてきました。2026年1月以降、年間売上RM100万未満の事業者は対象外とされています。

従業員を雇用した場合は、毎月の給与からの所得税源泉徴収(PCB)、EPF(従業員積立基金)、SOCSO(社会保障)、EIS(雇用保険)の手続きが発生します。これらは給与計算の外部委託でまとめて対応するのが一般的です。

事業内容・規模に応じて発生する主な手続き(2026年10月時点)
手続き発生する条件提出先
サービス税の登録・申告課税対象サービスの年間売上が登録基準額(原則RM50万)を超える場合RMCD(関税局)
e-Invoice年間売上RM100万以上の事業者(2026年1月以降の基準)LHDN(MyInvois)
給与の源泉徴収(PCB)従業員を雇用した場合LHDN
EPF・SOCSO・EIS従業員を雇用した場合各機関
移転価格文書関連者間取引が一定規模を超える場合LHDN(求めに応じて提出)

年間の維持コストの目安と、放置した場合のリスク

これらの手続きを外部に委託した場合の年間コストは、カンパニーセクレタリー費用、記帳・決算、監査、税務申告の合計で決まります。監査免除を使えば監査報酬が不要になりますが、その分を含めても休眠に近い会社で年間RM8,000前後、通常の事業会社では年RM1万〜2万程度が一般的な相場です(2026年10月時点・事業規模により変動)。

手続きを放置した場合のリスクは、費用よりはるかに大きくなります。年次申告や財務諸表の提出を怠ると、会社と取締役に罰金が科され、悪質な場合は取締役としての資格に影響します。法人税の申告漏れや予定納税の過少見積りには、加算税やペナルティが課されます。

さらに、提出の遅延はEmployment Passの更新や銀行口座の維持にも影響します。マレーシアで事業を続けるなら、期限管理は経営の基本業務と考えてください。

Sdn Bhdの年間維持コストの目安(2026年10月時点・代行会社の一般的な相場)
項目年間の目安備考
カンパニーセクレタリーRM3,600〜9,600程度年次申告・議事録管理を含む
記帳・決算書作成RM2,000〜(取引量による)月次記帳か年1回かで変動
法定監査RM2,000〜(規模による)監査免除の対象なら不要
法人税申告(Form C・CP204)RM1,500〜税務代理人に依頼する場合
SSMへの年次申告手数料所定の手数料セクレタリー費用と別請求のことが多い

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日本側の論点:外国関係会社の書類添付と合算税制

マレーシア法人の決算は、マレーシア側の手続きで完結しません。日本の居住者または内国法人がマレーシア法人を支配している場合、日本側でも決算情報が必要になります。

日本の外国子会社合算税制では、租税負担割合が20%未満の外国関係会社(ペーパーカンパニー等の特定外国関係会社は27%未満)について、経済活動基準を満たさない限りその所得が日本の株主に合算されます。また一定の外国関係会社については、確定申告書にその財務諸表等を添付する義務があります。

本土のSdn Bhdは標準24%で、中小企業の軽減税率(15%・17%)も2024年の賦課年度から払込資本の20%超を外国法人やマレーシア国籍でない個人が保有する会社は対象外です。日本の居住者が過半を出資する会社は通常24%となり、租税負担割合の基準(20%)を上回ります。ただし判定は名目税率ではなく実際の税負担で行われるため、優遇税制で税負担が下がる場合は合算税制の判定に入り得る点に注意してください。

日本側の判定と申告は国際税務の専門領域です。本サイトは制度の整理を目的としており、個別の判断は日本の税理士に確認してください。

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出典

この記事を書いた人

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Yuto Nishitani

ラブアン法人代表・クアラルンプール在住

ラブアン法人代表。2025年10月からマレーシア・クアラルンプールのブキッ・ビンタンに住み、ラブアン法人の就労許可(Labuan EP)で暮らしています。

日本法人・ドバイ法人・ラブアン法人を保有する当事者として、法人設立・維持・ビザ・日本側の税務を、自分の判断材料として調べてきました。

記事は一次資料に基づいて書いており、制度の解説と自分の経験は区別して記載しています。

X(@beginners_job2)

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よくある質問

監査免除の基準を満たせば、決算書は作らなくてよいですか?

いいえ。監査免除は外部監査人による法定監査が不要になる制度であり、財務諸表の作成と株主への送付、SSMへの提出義務は残ります。法人税申告(Form C)も通常どおり必要です。

2026年に始まる会計年度の監査免除基準はいくらですか?

SSMのPractice Directive No. 10/2024では、2026年1月1日から12月31日までに開始する会計年度について、売上高RM200万以下、総資産RM200万以下、従業員20名以下の3基準のうち2つを満たすことが条件です。判定には直前2期分の数値も用いられるため、適用前に会計事務所に確認してください。

決算日はいつにするのがよいですか?

会社が自由に設定できます。日本の親会社と決算期を揃えると連結や日本側の申告がしやすく、個人オーナーの場合は日本の確定申告との関係で12月決算を選ぶ例もあります。設立初年度の決算までの期間にも制限があるため、設立時にカンパニーセクレタリーと相談して決めてください。

年次申告(Annual Return)と法人税申告は同じものですか?

別のものです。年次申告はSSMに対して会社の基本情報(取締役・株主・住所等)を毎年確認・届出する会社法上の手続きで、設立記念日から30日以内が期限です。法人税申告はLHDNに対する税務申告で、決算日から7か月以内が期限です。

手続きを1年放置してしまいました。どうすればよいですか?

できるだけ早くカンパニーセクレタリーと会計事務所に相談し、未提出の書類を提出してください。遅延期間が長いほど罰金や加算税が増え、取締役個人にも責任が及ぶ可能性があります。日本側の申告に影響がある場合は、日本の税理士にも並行して相談してください。

免責事項

本サイトの情報は執筆・更新時点の調査に基づくものであり、マレーシアの会社法・税制・ラブアンの実質活動要件・ビザ要件、および日本の国際課税制度は予告なく変更される場合があります。また、実際の税務上の取扱いは個別の事業実態によって大きく異なります。本サイトの情報は一般的な解説であり、税務・法務上の助言ではありません。実行の前には必ずSSM・LHDN・Labuan FSAなどの公的機関の最新情報を確認し、マレーシアおよび日本の有資格専門家(会計士・税理士・弁護士)にご相談ください。本サイトの情報に基づく判断・行動の結果について、運営者は責任を負いかねます。