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マレーシア起業の始め方|日本人が選べる形態・業種別の規制と資本金【2026年】

最終更新日:2026-10-08

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マレーシアで起業したい日本人が最初に知っておくべきことは、「何の事業をするか」で必要な資本金もライセンスも大きく変わるという点です。結論から言うと、外国人は個人事業主として登録できないため、器は原則として非公開会社(Sdn Bhd)になります。そのうえで、IT・コンサルのような規制の少ない業種なら比較的身軽に始められる一方、飲食・小売・卸売など流通業を外資で営む場合は払込資本RM100万のライセンス要件がかかります。この記事では、マレーシア起業を事業タイプ別に整理します(2026年10月時点)。

まず結論:外国人の起業は「Sdn Bhd+業種規制の確認」から

マレーシアの個人事業(Sole Proprietorship)やパートナーシップの登録は、事業登録法(Registration of Businesses Act 1956)に基づき、マレーシア国民と永住者に限られています。日本人が自分の名前で事業を始めるには、会社法(Companies Act 2016)に基づいてSdn Bhdを設立するのが基本ルートです。

Sdn Bhdは外国人100%出資でも設立でき、会社法上の最低払込資本はRM1です。ただし、マレーシアに主たる居所を持つ取締役を最低1名置くこと、設立後30日以内にカンパニーセクレタリーを選任することが必要です。

起業の可否と難易度を左右するのは、業種ごとの外資規制・ライセンスと、経営者自身のビザです。事業アイデアが固まったら、まず業種の規制を確認し、次に資本金とビザの設計に進んでください。

日本人がマレーシアで起業する際の主な選択肢(2026年10月時点)
形態外国人の利用向いているケース
個人事業(Sole Proprietorship)不可(国民・永住者のみ)—
非公開会社(Sdn Bhd)可(100%出資も多くの業種で可)ほぼすべての起業
外国会社の支店日本の会社がある場合に可日本の会社の信用で契約したい場合
ラブアン法人可(登録エージェント経由)国外顧客向けの取引・持株(実質活動要件が前提)

関連: マレーシア法人設立ガイド /マレーシアの会社形態5種類

事業タイプ別:規制と資本金の目安

同じSdn Bhdでも、事業内容によって必要な許認可と資本金の水準は大きく異なります。日本人の起業で多い業種を、規制の重さで整理すると次のとおりです。

IT・ソフトウェア開発やコンサルティングなど、国外の顧客にサービスを提供する事業は、業種固有のライセンスが不要なことが多く、最も始めやすい分野です。一方、飲食店・小売・卸売・フランチャイズなどの流通業は、外資が過半を持つ場合に国内取引・生活費省(KPDN)のWRTライセンスが必要で、払込資本RM100万が要件になります。

経営者自身がEmployment Pass(EP)を取る場合は、業種にかかわらず外資100%で払込資本RM50万程度が実務上の目安になります。つまり「会社法上はRM1でも、実際に住んで経営するにはRM50万〜100万の資本設計が必要」というのが、マレーシア起業の現実的な前提です。

事業タイプ別の規制と資本金の目安(2026年10月時点・外資100%の場合)
事業タイプ主な許認可・規制払込資本の目安難易度
IT・ソフトウェア開発業種固有の許可は不要なことが多い(Malaysia Digitalの優遇は申請制)EP取得ならRM50万程度低
コンサルティング・士業以外の専門サービス原則不要(規制業種に該当しないか確認)EP取得ならRM50万程度低
越境EC(国外顧客向け)取扱商品により輸出入規制EP取得ならRM50万程度中
飲食・小売・卸売・フランチャイズWRTライセンス(KPDN)、営業許可(各自治体)RM100万高
教育・医療・金融・運輸等所管官庁の許認可・外資比率の制限業種ごとに異なる高

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起業の順番:設立・口座・ビザ・税務登録

マレーシアでの起業は、手続き同士が依存し合っているため、順番を誤ると時間を失います。たとえば、銀行口座がないと資本金の払込みを証明できず、資本金の証明がないとビザの申請に進めません。

設立登記そのものは数週間で終わりますが、口座開設に2週間〜2か月、EPの取得にさらに1〜3か月程度かかるのが一般的です。事業を実際に始められるまでには、3〜6か月を見込むのが現実的です。

この間の滞在方法や、設立当初の居住取締役を誰にするか(設立代行会社のノミニー取締役を使うか)も、事前に決めておく必要があります。

  • 1. 事業内容と顧客の所在を確定し、業種の規制を確認する
  • 2. 器を決める(本土Sdn Bhdか、国外向けならラブアン法人も検討)
  • 3. SSMで会社を設立し、カンパニーセクレタリーを選任する
  • 4. 法人の銀行口座を開設し、資本金を払い込む
  • 5. ESDに会社を登録し、経営者のEPを申請する
  • 6. LHDNで税務登録を行い、必要に応じてライセンス・SST登録を行う

関連: マレーシア法人の銀行口座開設 /マレーシア法人設立とビザ

起業時に見積もるべきコスト

起業時の費用は、設立費用、資本金、毎年の維持費、そして経営者の生活費に分けて考えると見通しが立ちます。資本金は事業資金として使えるため費用ではありませんが、払い込む現金を用意する必要があります。

維持費については、2025年から監査免除の基準が段階的に緩和され、小規模な会社は法定監査が不要になる範囲が広がりました。起業初期の固定費を抑えやすくなっています。

EPを取る場合は、自分に支払う役員報酬が給与要件(2026年6月以降、カテゴリーIIIで月RM5,000以上)を満たす必要があり、その分の資金計画も必要です。

マレーシア起業の費用の目安(2026年10月時点・Sdn Bhdの場合)
項目目安備考
SSMの公的手数料RM1,050程度名称予約RM50+登記RM1,000
設立代行一式RM4,000〜8,000程度代行会社により異なる
払込資本RM1〜(EP取得ならRM50万程度、WRT対象ならRM100万)事業資金として使える
年間維持費RM8,000〜2万程度セクレタリー・会計・税務申告(監査の有無で変動)
経営者のEP給与月RM5,000以上(カテゴリーIII)2026年6月以降の基準

関連: マレーシア法人の監査免除と年次申告

税金:マレーシア側と日本側の両方を見る

マレーシア法人の法人税は標準24%で、払込資本RM250万以下などの要件を満たす中小企業は、課税所得の最初のRM15万に15%、RM60万までの部分に17%が適用されます。ただし2024年の賦課年度からは、払込資本の20%超を外国法人やマレーシア国籍でない個人が保有する会社は対象外で、日本人が出資する会社は通常24%です。法人税を払った後の利益からの配当は、シングルティア制度により株主段階では原則として課税されません。

ただし、起業する本人が日本の居住者のままであれば、日本の外国子会社合算税制の判定を受けます。基準は租税負担割合20%未満で、ラブアン法人はこの基準を下回ります。本土法人は通常24%ですが、優遇税制で実際の税負担が20%を下回る場合は対象になり得ます。経済活動基準を満たさなければ、会社の所得が日本の株主に合算されます。

マレーシアで起業するなら、自分自身がマレーシアに住み、現地に事務所を置いて現地で経営判断をすることが、マレーシア側(実質活動・ビザ)と日本側(経済活動基準)の両方の前提になります。「日本に住んだままマレーシアに会社を作れば税金が下がる」という考え方は成り立ちません。個別の判断は、日本とマレーシアの税務の専門家に確認してください。

関連: マレーシアの法人税【2026年】 /タックスヘイブン対策税制とは

失敗しやすいパターン

マレーシア起業の相談で多い失敗は、いずれも「設立の手軽さ」と「事業開始までの要件」のギャップから生じます。設立前に以下を確認しておけば、多くは避けられます。

  • 資本金RM1で設立し、ビザ申請の段階で増資が必要になる
  • 飲食・小売を外資100%で始めようとして、WRTライセンスの資本要件に気づく
  • 口座開設に必要な事業計画・資金源の資料が用意できず、事業開始が数か月遅れる
  • 日本に住んだまま会社を保有し、日本側の合算税制や申告を見落とす
  • 年次申告・決算の期限を把握しておらず、罰金や銀行・ビザの手続きに影響が出る

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出典

この記事を書いた人

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Yuto Nishitani

ラブアン法人代表・クアラルンプール在住

ラブアン法人代表。2025年10月からマレーシア・クアラルンプールのブキッ・ビンタンに住み、ラブアン法人の就労許可(Labuan EP)で暮らしています。

日本法人・ドバイ法人・ラブアン法人を保有する当事者として、法人設立・維持・ビザ・日本側の税務を、自分の判断材料として調べてきました。

記事は一次資料に基づいて書いており、制度の解説と自分の経験は区別して記載しています。

X(@beginners_job2)

マレーシア法人設立、条件から逆算して整理しませんか?

本土のSdn Bhdかラブアン法人か、資本金をいくらにするか、ビザは取れるか、日本側の合算税制はどうなるか。順番を間違えると後戻りできません。まずは無料相談で、あなたの事業実態に合う設計を整理できます。

よくある質問

外国人でもマレーシアで個人事業主として起業できますか?

できません。事業登録法に基づく個人事業(Sole Proprietorship)やパートナーシップの登録は、マレーシア国民と永住者に限られています。外国人が事業を行う場合は、Sdn Bhd(非公開会社)を設立するのが基本です。

資本金はいくら必要ですか?

会社法上の最低払込資本はRM1です。ただし経営者がEmployment Passを取る場合は、外資100%でRM50万程度が実務上の目安になり、飲食・小売・卸売などの流通業を外資が過半で営む場合はWRTライセンスの要件として払込資本RM100万が求められます。

起業してから事業を始められるまで、どのくらいかかりますか?

設立登記は数週間で完了しますが、銀行口座の開設に2週間〜2か月、EPの取得に1〜3か月程度かかるのが一般的です。業種ライセンスが必要な場合はさらに時間がかかります。全体では3〜6か月を見込むのが現実的です。

IT企業向けの優遇制度はありますか?

マレーシアにはMDEC(マレーシア・デジタル経済公社)が所管するMalaysia Digitalステータスなど、デジタル関連企業向けの制度があります。対象となる事業や優遇の内容、適用条件は申請制で個別に審査されるため、MDECおよびMIDAの最新情報を確認してください。

日本に住んだままマレーシアで起業できますか?

会社の設立自体は可能ですが、マレーシアに主たる居所を持つ取締役が最低1名必要で、銀行口座の開設でも対面面談が求められるのが通常です。また日本の居住者が保有する場合は、日本の外国子会社合算税制の判定を受けます。実際に事業を運営するには、経営者が現地に住むことを前提に設計するのが現実的です。

免責事項

本サイトの情報は執筆・更新時点の調査に基づくものであり、マレーシアの会社法・税制・ラブアンの実質活動要件・ビザ要件、および日本の国際課税制度は予告なく変更される場合があります。また、実際の税務上の取扱いは個別の事業実態によって大きく異なります。本サイトの情報は一般的な解説であり、税務・法務上の助言ではありません。実行の前には必ずSSM・LHDN・Labuan FSAなどの公的機関の最新情報を確認し、マレーシアおよび日本の有資格専門家(会計士・税理士・弁護士)にご相談ください。本サイトの情報に基づく判断・行動の結果について、運営者は責任を負いかねます。